<バンド名、アルバム名、曲名の解説>      


 アシェー音楽に関連する曲名やバンド名は基本的にはポルトガル語だが、時おり
ヨルバ語(ナイジェリアのヨルバ地方の言語)が混ざっていることもある。いずれも、
日本では馴染みが少ない言語だ。そのせいで、曲名やバンド名を覚えるのも決して
楽ではない。
 ここでは、別項の「アシェー音楽とは」の文章の中で詳しく触れられなかった
固有名詞の解説を試みる。
 (フォントの都合でローマ字の綴りが正式なポルトガル語と一致していません。
  しかも筆者はポルトガル語の勉強を始めたばかりで、意味がわからないものが
  多数あります。間違いもあるでしょうが、どうかご寛恕ください。指摘メール
  を送っていただければ、とてもありがたいです)
 
 アシェーとは「霊的な力」を表わすヨルバ語だ。これはバイーアで「カンドンブレ」
と呼ばれる、アフリカ起源の宗教に由来する。カンドンブレとともに伝えられたのが
ヨルバ語であり、同時にアシェー音楽の根幹をなすさまざまなリズムなのである。
 (カンドンブレに関する詳しい情報は、修羅とアシェーをご参照ください)
 ヨルバ語については、どうやって調べたらよいのかさえ分からない。イレ=アイエ
(Ile Aiye)が「生命の家」を意味するヨルバ語であること、オロドゥン(Olodum)が
カンドンブレの至上神・オロドゥマレーにちなんだ命名であることは、いろいろな
ところで紹介されているので間違いないだろう。たぶん、ムゼンザ(Muzenza)、
バダウェ(Badaue)、マレー=ヂ=バレー(Male de Bale)、アラケトゥ(Araketu)も、
ヨルバ語に由来する命名だと思う。
 ブロッコ・アフロ(bloco Afro)という言葉に比べると、宗教的結社のニュアンスが
感じられる「アフォシェ(Afoxe)」という言葉も、たぶん、ヨルバ語だろう。
 ヨルバ語については、これ以上のことはわからない。
 以下、ポルトガル語関係のネーミングについて、知っている限りのことをまとめて
みる。

=グループ名編=

*フィーリョス=ヂ=ガンヂー:Filhos de Ghandi:ガンヂーの息子たち
  良く似た名前のフィーリャス=ヂ=オシュン(Filhas de Oxun)というブロッコ・
  アフロもあるが、こちらはカンドンブレの女神オシュンの娘たちという意味。

*エ=オ=チャン:E O Tchan:??? 一説によると、H関係の俗語らしい

*テハ=サンバ:Terra Samba:サンバの大地

*ボム=バランソ:Bom Balanco:直訳すると「良い(bom)振動(balanco)」

*アルモニア=ド=サンバ:Harmonia do Samba:サンバのハーモニー
  ボーカルのXandyが、エ=オ=チャンのフロントダンサーだったカーラ・ペレス
  と付き合っていることでも有名。

*シェイロ=ヂ=アモール:Cheiro de Amor:
  「愛(amor)の香り(cheiro)」というロマンチックなネーミング。
  2000年のカルナヴァルでは日本の法被スタイルのアバダーを採用していたが、
  そこにはひらがなで「あいのかおり」と正しく書かれていた。

*アサ=ヂ=アギア:Asa de Aguia:鷲(aguia)の翼(asa)
  こういうかっこつけたネーミングは、バイーアではけっこう珍しい。日本では
  知名度が低いが、ブラジル大衆には圧倒的人気。2000-2001年のrevellion
  (年越し)イベントでも、サンパウロのパウリスタ大通りを埋め尽くした。

*シクレッチ=コン=バナナ:Chiclete com Banana:
  chicleteは「チューインガム」なので、「バナナ入りのチューインガム」と
  いう意味になる。アサ=ヂ=アギアと同様日本にはあまり紹介されないが、
  現地での人気はすごい。

*バンダ=エヴァ:Banda Eva:
  Evaは「アダムとイブ」のイブのこと。bandaは言うまでもなくバンドのこと。
  バイーアのバントでは、通常はボーカルが独立した場合はバンドが生き残って
  独立したほうのボーカルは売れないものなのに、ここから独立したイヴェッチ
  ・サンガ−ロが大成功したのを横目に新たな女性ボーカルを迎えてCDを出し
  たが、どうやら苦戦しているようだ。

*バンダ=ベイジョ:Banda Beijo:
  beijoは「kiss」のこと。女性ボーカルのジルは長身の美女で、アルバムの
  タイトルが「Meu nome e Gil」(我が名はジル)とつけられるほどの人気者。

*バンダ=メル:Banda Mel:
  melは「蜂蜜」。95年には日本各地を公演してまわった。

*チンバラーダ:Timbalada:
  原形は、太鼓の一種のtimbal(チンバウ)。これに"-ar"をつけて動詞化して
  timbalarに変え、更に"-da"をつけて名詞化するとtimbaladaになる。
  つまり「チンバウ叩き」ということである。ブラウンがカンヂアル地区の若者を
  糾合して作り上げた打楽器集団のひとつ。別働隊として、高速移動的打楽器集団
  Zarabi(ザラビ)や廃棄物再生子供打楽器集団Lactomia(ラクトミア)、女性バンド
  Bolacha Maria(ボラシャ=マリア)等が知られている。
  ちなみに一人の奏者としての「チンバウ叩き」はtimbaleiroとなる。

*ブラガダー:Bragada:
  チンバラーダと同じ理屈で分析すると、原形は、「半ズボン」または「ウクレレ」
  の意味のbragaのはずだが、真相は不明。誰か教えて。

*ヂダー:Dida :
  たぶん、Didatico(教育的)に由来するものだろう。一度ネギーニョに確認しな
  くちゃと思うのだが、いつも忘れてしまう。
  正式な名前は、Dida Banda Feminina。女性バンドということをはっきり打ち
  出している。子供たちの学校も運営しており、音楽や演劇を指導している。
  学校の一階では美容院も経営している。
  毎週木曜日に、テレーザ・バチスタ広場でライブをやっている。個人的には、
  同じ会場で火曜日にライブを行なっているオロドゥンよりもクオリティの高い
  ライブであると感じている。

*アズ=メニーナス:As Meninas:
  asは定冠詞。meninaは「女の子」で、-sがつくと複数形になる。つまり、
  「女の子たち」。英語で言えば「The Girls」。なんのひねりもない。
  なんという安直なネーミングだろう。

*ウンビリカル:Umbillical:
  「へその緒」という意味の、人を喰ったネーミングである。ブラウンが
  つけたのかもしれない。


++++++++++++++++++++++++++++++++++++


=アルバム名・曲名編=


*カルリーニョス・ブラウン:Carlinhos Brown のアルバムから・・・
 (ちなみにこれは芸名で、ジェームズ・ブラウンにあやかったという)

 1st albumの「alfagamabejizade」は、アルファベッドを教えてくれる
人のことらしい。子供の頃貧しくて学校に通えなかったブラウンは、彼と同
様に教育を受ける余裕のない人々のことをいつも思いやっている。
 邦題「バイーアの空の下で」は原題とは無関係だが、とてもいいネーミング
だと思う。どの曲も、歌詞があまりに自由奔放で訳詞を読んでもチンプンカン
プンだが、詮索しないで丸ごと受け取ると、とっても気持ちが良い。

 2nd albumの「omelete man」は、ずばりそのまま「オムレツ・マン」。
ジャケットに卵焼きの絵が描いてあるが、なにゆえオムレツなのかは不明。
5曲目「Soul by Soul」、6曲目「Water My Girl」、7曲目「Tribal
United Dance」、11曲目「Busy Man」、12曲目「Cold Heart」など、
ピジン・イングリッシュを導入して言語的世界を掻き混ぜ、同時にバイーア
に居ながら世界を包み込むというスタンスを見せている。

 3rd albumの「BAHIA DO MUNDO --mito e verdade--」は、「世界
のバイーア」という意味だろう。副題のほうは、「伝説と真実」といった
ところか。8曲めの「shalom」の冒頭でアザーン(イスラムの祈り)らしき
ものが使われているのが注意を引くが、題名も歌詞も意味がよくわからない。
いずりにせよ、ブラウンらしい「汎世界性」を感じさせる。



*ダニエラ=メルクリ:Daniela Mercuri のアルバムから・・・
 (Mercuriは、水銀や水星を意味する「マーキュリー」のことらしい)

 1st albumは、そのまま「Daniela Mercury」というタイトルで出ている。
というか、最初はタイトルなしのアルバムでデビュー、ということがよくある
ようだ。それが売れたら、2ndからはそれなりのアルバム名をつけるわけだ。
  (ソロでもバンドでも、こういうケースは珍しくない。チンバラーダ、
   ブラガダー、ウンビリカル、シモーネ・モレーノなど、みんなそう)
 1曲目の「Swing da Cor」は、直訳すると「色のスウィング」。これを
「黒のスイング」と訳しているのを見たことがあるが、つまりこの「色」は
有色人種というニュアンスを込めたものと思われる。

 2nd albumの「O Cant da Cidade」は、「街(cidade)の歌(cant)」。
このアルバム名は1曲目の曲名でもある。「街」とはもちろん、サルバドール市
(通称バイーア)のことだ。力強い声で
  A cor dessa cidade sou eu   この街の色は、私
  A canto dessa cidade e meu  この街の歌は、私のもの
と歌い上げる。恋愛ごとを歌った曲は世界中にあるだろう。しかし、街への愛が
これほど熱く、これほど繰り返し歌われる場所は、他にない。そしてダニエラと
バイーアほどそれが似つかわしい関係も、他にない。

 3rd albumの「Musica de Rua」は、「ストリート(rua)の音楽(musica)」。
路上で音楽に出会い、路上で演奏を学び、路上で踊る人々。バイーアにぴったり
のタイトルだ(このCDでも1曲目の曲名をアルバム名にしている)。ダニエラが
いかにこの街と不可分な存在であるか、よくわかる。
 9曲目「Domingo no Candeal」は、ファベイラ(貧民街)ゆえに裕福な白人層
から敬遠されがちなCandeal(カンヂアル)という地区で、毎週日曜日(domingo)に
    ”貧民街を蔑視するな。聴きたきゃ、ウチへ来い”
というスタンスでチンバラーダが行なっているライブを讃えた歌。
 12曲目「Por Amor ao Ile」は「イレーへの愛(amor)のために」という意味で、
ずばり、イレ=アイエに捧げた歌。

 4th albumの「Feijao com Arros」は「フェイジョン豆と米(arroz)」という、
バイーア料理の基本的かつ象徴的な食材をタイトルにした作品。日本盤のタイトル
が「黒と白」とつけられたのは、ジャケット写真の印象からだろう。
 1曲目「Nobre Vagabund」の「Vagabund」は、宮本武蔵をリメイクした人気
漫画 「バカボンド」と同じ意味。Nobreは英語のnobleと同じ。つまり、「高貴な
放浪者」ということ。
 2曲目「Rapunzel」の由来は不明だが、"Julieta e Romeu"という歌詞
に出てくるところをみると「ロミオとジュリエット」になぞらえた恋愛歌だろう。
 8曲目「A Primeira Vista」は直訳では「初めて見ること」というふうな意味に
なるが、もっと深い意味があるのかもしれない。

 最新アルバム「Sol da Liberdade」は、「自由(liberdade)の太陽(sol)」という
意味。ここでも1曲目に入っている自作の曲のタイトルが、そのままアルバム名に
なっている。
 バイーア市内にはLiberdadeという名の地区があり、ここはブラジル中で最も黒人
の居住率が高いことで知られていて、しかもダニエラが敬愛するIle Aiyeの本拠地で
あるから、そういうニュアンスを込めたのかもしれない。
 8曲目「dara」(この単語は辞書に載ってなかった)も自作の曲で、歌詞の中に
「ナナン」「イアンサン」「オシュン」「イエマンジャー」等、オリシャ<カンド
ンブレの神々>の名前がたくさん出てくる。
 このアルバムにボーナス・トラックとして追加された「Como vai voce」は、
しっとりとした大人の歌。「ご機嫌いかが?」という挨拶だ。



*チンバラーダ:Timbaladaのアルバムから・・・
 
 1st albumが「Timbalada」なのは前述の通り。邦題は「ストリート・パワーの
逆襲」となっているが、ストリート育ちのミュージシャンである彼らのポジションを
うまく表わしている。
 2曲目「Toque de Timbareiro」(チンバウ叩きの打撃)を聴けば、ストリートから
世界へ向かっていく彼らの勢いと意気込みが伝わってくるだろう。
 5曲目「Emilio」は、エミリオという男の片思いの歌だが、アカラジェを比喩に
用いていて、ちょっぴりエッチ。ちなみにアカラジェ(acaraje)はバイーアの街角で
良く売られている名物料理。筆者は実物を見て、初めてこの曲の意味が分かった。

 2nd album「Cada Cabeca e' Um Mundo」は、「それぞれの頭が一つの世界」と
いう意味。邦題の「頭の数だけある世界」は、たしかにうまく訳してある。しかし、
スキンヘッドに様々なデザインをペインティングした人々を俯瞰で切り取った斬新な
ジャケットには、原題のほうがふさわしいと思う。
 6曲め「Camisinha」は「camisa(シャツ)」を可愛く表現したものでコンドーム
のこと。バイーアには素敵なデザインのTシャツがたくさん売られていてみやげ物に
ちょうどよいのだが、子供向けの可愛いTシャツを見つけても、縮約形にして「カミ
ジーニャ」なんて言わないように。

 3rd albumの「Andei Road」は「道を歩いた」という意味か。andeiはandar
(歩く)の一人称完全過去形だが、roadのほうは英語。
 1曲目「Mimar Voce」は、「あなた(voce)を愛撫(mimar)する」という意味。
非常にわかりやすい歌詞なので、ポル語を齧ったことがある人は訳してみるといい
だろう。
 8曲目「Margarida Perfumada」は、「香りの良いマーガレット」という意味。
甘く切なくシェシェウが歌う。

 4th albumの「Mineral」は、5曲目「Agua Mineral」(ミネラルウォーター)に
由来するようだ。ブラウンは子供の頃、カンヂアル地区の湧き水を売って歩いていた
らしい。ペットボトル入りのミネラルウォーターを売り歩く現在の子供達の姿が、
少年時代のブラウンと重なって見える。
 6曲目「Carimbolada Soul」の"Soul"はソウルミュージックのことだろ
う。

 5th albumの「Mae de Samba」は、「サンバの母」。 9曲目の曲名でもある。
 8曲目「Cordao de Bloco」のcordaoは「ロープ」という意味もあるが、辞書に
俗語として「カーニバルで騒ぎ回る人の群れ」とあるので、こっちの意味だろう。
blocoは、もちろんブロッコ・アフロのことだろう。あるいは、ロープによって人々
を隔離すること、または、ロープを持った係員のことかもしれない。
 14曲め「A Latinha」については、「アシェー三昧」の三月三日の欄に書いたので、
ここでは省略する。

 6th albumの「...pense minha cor...」は「...私のcorを考えて...」という意味
になるはずだ。"cor"には、色という意味の他に、「言い訳」「心臓」等の
意味があるようだが、このタイトル名と同じ2曲目の歌詞からはよくわからなかった。
 3曲目「Zorra」とは女狐のことらしい。「カーニバルの王はどこだ?」と問い
かける威勢のいい歌だ。
 7曲目「Plugado na Viola」の終わりにアキラがささやく日本語は、
     {懐かしい、やはり心と心の愛は胸の奥で聴くこと}
という、日本語らしくない台詞だ。たぶん、ポルトガル語を直訳したのだろう。



*シモーネ=モレーノ:Simone Moreno は、「褐色のシモーネ」という意味になる。
彼女の褐色の肌とすらりと伸びた手足は、それだけで賛美に値する。

 前述の通り、1st albumは「Simone Moreno」で出ている。1曲目「Mulheres do
mundo」は「世界(mundo)中の女(mulher)たちへ」という、気宇壮大な歌。彼女は、
   eu sou voce   私はあなた
   eu sou Bahia...... 私はバイーア....
と歌ってサマになるんだから、ダニエラと比較されたのも無理はない。
 2曲目にイレー=アイエ、3曲めにオロドゥン、5曲めにムゼンザを、それぞれ歌
詞に折り込んで讃えている。12曲めは黒人奴隷の歴史とカンドンブレの神々、そして
今日のサンバ=ヘギに至るまで、バイーアの姿を歌い上げている。

 2nd albumの「Morena」は、モレーナつまり褐色の肌をした混血女性のことであ
る。バイーアが、いや、ブラジルが産んだ最も美しいものと言われる女性たちのことだ。
ダニエラもイヴェッチも外見はヨーロッパ人に見えるが、シモーネはカフェオレ色の
美しい肌をもつ、典型的なモレーナだ。
 6曲めの「Irene」は、民衆に支持されていたカエターノが軍事政権によって投獄
された時に、獄中で作った歌。イレーニというのは、彼の末の妹の名前だそうだ。
 5曲めの「Sanbae」ではチンバラーダを、11曲目のメドレーではクララ・ヌネスを
カバーしている。



*ブラガダー:Bragadaの1st albumが「Bragada」なのは前述の通り。
 1曲目で「ケブラ!」と叫んでいるのは「壊す」という意味の「quebrar」だろ
う。彼らはライブの時にチェーンソーで火花を散らしつつ金属をぶった切るという
パフォーマンスを演じてみせたそうだ。



*ヂダー:Dida の1st albumの「A Mulher Gera o Mundo」は「女性は世界を産
む」という意味になる。ブックレットには地球を孕んだ女性のイラストがある。



*アズ=メニーナス:As Meninasの1st albumは、「Xi Bombom」。
「Bombom」はお菓子のこと(ウィスキー・ボンボンの「ボンボン」)だろうが、
「Xi」のほうは、よくわからない。
 2nd albumは「tapa aqui, descobre ali」。「aqui」が「ここ」で「ali」が
「あそこ」。「tapar」が「隠す、塞ぐ」という意味で「descobrir」は「覆いを
とる(英語のディスカバーと同じ)」 だから、「ここを隠してあそこを見せろ」とか
いう意味になるのかな。



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 ついでに、いわゆるアシェー音楽の母胎となったブロッコ・アフロのCDについても、
筆者が所有しているものの中からいくつかを簡単に紹介する。


*イレ=アイエ:Ile AiyeのCDタイトルは、いささかややこしい。
 1st albumにも、2nd albumにも、「Canto Negro」と書かれていて、これがタイト
ル名らしい。「黒い聖歌」という意味だ。内容もジャケットのデザインも異なっている
が、なぜ同じ名前がついているのか、不思議だ。ちなみに、筆者は「Black Chant」と
いうタイトルのアルバムを買ったことがあるが、こちらはジャケットのデザインは違う
ものの、1st albumと全く同じ内容だった。
 3rd albumは「25anos」と書かれていて、結成25周年を記念した作品。こちら
は、ダニエラの曲をカバーする等、すこしソフトな仕上がりになってる。


*オロドゥン:Olodum
 人気バンドだけに、たくさんのアルバムやライブ版・ベスト版等があり、全容は把
握していない。ネギーニョ(「黒」という意味のnegroを愛称化したもの、つまり「黒
ちゃん」というようなニュアンスらしい)が率いていたころのアルバム「O Moviment」
(ムーブメント)や、「Florente na Natureza」(自然の中で花盛り)の頃は、
マダガスカルやエチオピア等、しきりにアフリカを題材にして歌っていたようだが、
96年の「Roma Negra」(黒人のローマ/サルバドールのキャッチコピーの一つ)あたり
から、その傾向が見られなくなった。


*アラケトゥ:Araketu
 「Seven Gates」と「Bom Demais」の二枚のCDを持っているが、「Bom Demais」
の5曲目などは、パゴーヂに近いノリだと思う。この軽やかさからはブロッコ・アフロ
特有の重厚さが感じられない。しかし、アシェーバンドの一つと割り切って聴けば、
充分に楽しめるバンドである。勝手に分類しておいて勝手に文句を言うのは筋違い
というものだろう。


*ムゼンザ:Muzenza
 レゲエへの指向性が強いバンドということだが、筆者は「Chegou Quem Faltava」
というCDしか持っておらず、詳しいことはわからない。このアルバムに限っていえ
ば、アラケトゥ同様、かなりポップでとっつきやすいバンドという印象がある。


*フィーリョス=ヂ=ガンヂー:Filhos de Ghandi
 「Coracao de Oxala」というのを一枚持っている。Coracaoは心臓または心で、
Oxalaはオリシャの名前。

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 最後に、ここまで触れることができなかった三名の名前を上げておく。いわゆる
「アシェー」とは別のカテゴリーになるのだろうが、個人的に気に入っているという
だけの理由で紹介したい。

*ダウーヂ:Daude
 バイーア出身らしいが、活動拠点はバイーアではないようだ。外見も、歌の印象も
バイーアっぽいのだが。
 「VEU VAVA-REMIX」と「DAUDE#2」の二枚を持っているが、後者にはブラウン
も参加しており、彼の歌声も聴くことができる。

*ヴィルジニア=ホドリゲス:Virginia Rodorigues
 癒し系の澄んだ歌声。宗教的なイメージの曲のほかにチンバラーダやイレ=アイエも
カバーしているが、まったく違った味わいがある。バイーアの一般市民だったが、カエ
ターノに発掘されたということである。
 まだ「Nos」と「Sol Negro」しか手に入れていないので、現地のCD店で探したの
だが、一枚も見つけられなかった。

*シルビア=トーレス:Silvia Torres
 「Silvia Torres」というCDは、実は5枚目の作品だそうだが、ブラウンの全面
プロデュースによって独特の世界ができあがっている。シルビアは生粋のバイアーナだ
し、 ブラウンが曲を提供したとなれば、思いっきり弾んだアシェー音楽にしあがっても
不思議ではないのだが、アコースティックなサウンドでしっとり聴かせてくれる。去年
4月の "ブラウン in お台場 Live" に参加した人なら理解できると思うが、このアルバム
には静謐なブラウンが息づいている。最後にブラウン自身の手拍子サウンドが入ってい
るのもファンにとっては嬉しい限り。



・・・・以上、2001年3月7日の時点で知っていることを、思い付くままに
書き散らしてみました。また、新しい情報が入れば、そのつど書き改めたいと思い
ます。

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written by "AXE Junkie"

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